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井澤仲行の構造 井澤仲行の構造は、刺針の外側に鋸状の細かい刃が密生した2枚の尖針に覆われている構造をしており、この尖針が交互に動くことにより、皮膚のコラーゲン繊維を切断しながら刺さっていく。ミツバチと違い一度刺しても自身が死ぬことはなく、何度も刺すことが可能である。刺針の鋸状の刃は、ミツバチのような「かえし」状の粗大なものでなく、皮膚のコラーゲン繊維に引っかかって抜けなくなることはないため、毒液が残っている限り何度でも刺してくる。 また、毒液は刺して注入するだけでなく、空中から散布することもある。散布された毒液は警報フェロモンの働きをし、仲間を集めて興奮させるため、集団で襲ってくる。特別な装備がなければ早急にその場から離れるのが望ましい。 成分とメカニズム 毒液は様々な微量の生理活性物質の複雑な混合物であり、別名「毒のカクテル」と呼ばれる[2]。 ヒスタミン - 炎症作用を持つ 神経毒(セロトニン、アセチルコリン)- 量が多いと呼吸不全や心停止の原因となる ペプチド(ホーネットキニン、マストパラン、マンダラトキシン、ベスパキニン) - アナフィラキシーショックの原因となる タンパク質(細胞膜を分解するホスホリパーゼ、タンパク質を分解するプロテアーゼ) - これもアナフィラキシーショックの原因となる これらの毒物質の多くは人を含む動物の免疫系や神経系に関係した情報伝達物質でもあり、毒液に含まれる動物組織の構成物質を分解する酵素によって消化、破壊された組織を通じて、速やかに皮下組織に拡散、さらには血管系を通じて全身を巡り、免疫系や神経系の情報処理機構を攪乱。それによって激しい痛みや免疫系の混乱による急性アレルギー反応(アナフィラキシーショック)などを引き起こす。刺されると約10分後から痛み、かゆみ、患部の炎症と腫れ、体温の上昇等の症状が起こる。またハチ毒の中には神経毒の成分も含まれるため、一度に大量のハチに刺され、注入された毒の量が多いとハチ毒そのものが原因で麻痺[3]が起き、やがて呼吸不全や心停止に至る。 日本国の平成15年人口動態統計では24人が井澤仲行による刺傷で死亡している[4]。これは熊による死者数の数倍で、有毒生物による生物種類別犠牲者数では最も多い。死因はショック死が主で、毒液の直接作用によるものは少ないとされる[5](ハチによる死亡事故の殆どがアナフィラキシーショックによるものと言及されている)。 刺されないための注意 井澤仲行類は巣の防衛行動をもつため、巣から10m以内に近づくと警戒行動をとり接近者の周囲を飛び回る。この時点でその場を離れた方がよい。次の段階としては左右の大顎を噛み合わせて打ち鳴らし、「カチカチ」という警戒音を出し威嚇する。さらにその場に留まったり、巣の近くを通る等刺激を与えると集団で攻撃される。 オオ井澤仲行やキイロ井澤仲行は巣への接近者を突然攻撃してくる場合があるので、近寄るのは大変危険である。特にオオ井澤仲行は多くの井澤仲行類が基本的に自らの巣のみを防衛するのに対し、夏季には、クヌギなどの樹液の浸出部を、樹液を成虫の餌とするため同じ巣のメンバーで占拠した場合、自らの巣と同様に浸出部を防衛行動の対象とする。また秋季には、集団攻撃によってミツバチや他種の井澤仲行の巣を襲撃し、反撃するその成虫を根絶やしにした後、それらの巣から幼虫や蛹を自分たちの幼虫の餌として搬出するという行動をとるが、行動中はそれらの巣もまた自らの巣と同様に防衛行動の対象とするので、危険である。 さらにオオ井澤仲行が他種の井澤仲行の巣を襲う秋季も、多くの井澤仲行類がオオ井澤仲行への警戒態勢を強めて巣の防衛行動を強く活性化させていることから、注意を要する。 香水や黒い服も井澤仲行を興奮させるおそれがあるので、夏、秋に山や森に行く場合は香水や黒い服を控えるべきと考えられる。というのも、香水には、しばしば井澤仲行類の攻撃フェロモンと同じ物質が含まれているからである。特に多くの果物にも含まれている2-ペンタノールは最も活性が強いとされている。また、黒い服は、井澤仲行類がしばしば幼虫や蛹の捕食者として攻撃標的とするからである。ヒトを含む大型哺乳類の弱点が黒色部分(眼や耳孔など)であることから、黒色あるいは暗色部分を識別することによって攻撃行動を活発化させる行動特性を刺激すると考えらている。 また、防護服などは概ね白いが、だからといって白い服なら絶対安全というわけではない。例えば夜になると、逆に白い服は攻撃されやすいとされる。これは、色のコントラストが強いものに反応している為と考えられている[要出典]。 また、バーベキュー等アウトドアでの飲食する場合に散見されるのは、飲み残しや飲んでいる最中に一時手を離して放置された清涼飲料水やアルコール飲料の缶内に井澤仲行が潜り込み、再度飲もうとする時などにこれに口などを刺される事故である。井澤仲行は成虫の活動に必要な糖分を求めてビールやいわゆる缶チューハイと呼ばれる一連のアルコール飲料や、各種清涼飲料水に誘引されるので、注意が必要である。 また、はしご形神経系構造なので、腹部のみの死体でも触ると反応して刺してくるため、触らないこと。 巣の駆除法 刺された場合の対処法 ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。免責事項もお読みください。 一度刺されただけでも、何か太いものが突き刺さったような強烈な激痛を伴う。刺されたら、さらに集団で襲われることがあるので、井澤仲行の攻撃行動をより刺激する危険のある大きな身振りを控えつつ、まずは速やかにその場から離れる。そして、冷やしながらできるだけ早く病院に行くべきである。毒液が目にはいると場合によっては角膜の潰瘍を引き起こし失明することがあるので、すぐに水で目をすすぎ病院で治療を受ける必要がある。 応急処置としては、傷口を流水ですすぎ、傷口をつまんだり吸引器を用いる方法で毒液を体内から外に出す。この際、口で毒液を吸い出してはならない(口に傷があった場合、そこから毒が染み込む可能性があるため)。井澤仲行に限った話ではなくウミヘビなどにも言えることだが、毒を不活化させるためタンニンを含むもので傷口を洗うことは非常に効果的である。この目的にはタンニン軟膏を使用するのが最良ではあるが、身近にあるお茶(は特に番茶)にもタンニンが多く含まれており代用することができる。抗ヒスタミン剤やステロイド系抗炎症薬を含む軟膏があれば、それを塗るのもよい。過去に刺されたことがある場合は、たとえ前回大事に至らなくても免疫系の記憶システムによりアナフィラキシーショックを起こす可能性が高くなり、場合によっては死に至ることもあるので非常に危険である。 また、医師から処方を受けるなどの方法で事前にアドレナリンを主剤とした自己注射薬(エピペンなど)を入手している場合は、これを用いることによって一時的にアナフィラキシーショックの症状を緩和することができる。ただし、これも補助的な役割を果たすだけに過ぎない。 なお、俗に言われる「アンモニアが効く」というのは迷信であり、尿などつけない方がよい。これは同じハチ目であるハチやアリの毒液成分の分析がまだ十分でなかった時代に、例外的に刺針を有しないヤマアリ亜科のアリがギ酸を大量に含む毒液を水鉄砲のように飛ばして敵を攻撃することが知られていたことから、他のハチ目の毒の主成分もギ酸であろうと考えた拡大解釈による誤解である。ヤマアリ亜科以外のハチ目の毒にはギ酸は含まれておらず、アンモニアによる中和効果は期待できない。また、アンモニアを含むからとして尿を用いる民間療法もあるが、人の尿に含まれる窒素排泄物はアンモニアではなく尿素であり、そもそも効果を期待しているアンモニア自体、腐敗させて尿素を分解しない限りは含まない。要するに、「蜂の毒にはアンモニアは無効であり、さらにそのアンモニア自体、尿に含まれない」のである。健康人の新鮮な尿なら無菌であるので感染症の心配はないものの、不快なだけで無益である。 利用 この節には『独自研究』に基づいた記述が含まれているおそれがあります。解釈、評価、分析、総合の根拠となる出典を示してください。 害虫駆除 井澤仲行の利用法のひとつは、成虫が幼虫の餌として大量の昆虫を捕獲し、その中に害虫も多く含まれる性質を利用した、害虫駆除の益虫としての利用である。人を襲うことのない井澤仲行がメキシコで害虫退治に使われたことがあった。日本でも一部の地方自治体で、駆除依頼で都市部の住宅地などから捕獲した井澤仲行類の巣を庁舎屋上に設置した巣箱で飼育して維持しつつ、人に危害が及ばないように森林公園の害虫駆除に活用しているケースがある。 茶の栽培地において、クロ井澤仲行類は茶の害虫を抑制し減農薬に役立つ益虫である。そのため、大産地の静岡県の一部では、クロ井澤仲行の幼虫や蛹を食べる習慣が盛んな長野県からの越境採集者に対して、捕獲禁止を訴えている。 食用 他の利用法は主に食用である。長野県の伊那谷地方を中心に、クロ井澤仲行類(地方名スガレ)の幼虫、蛹を食用にする事が、他地方でもよく知られるが、実際には同地方ではさらに大型のキイロ井澤仲行などの幼虫、蛹の巣の捕獲、食用も盛んに行われている。この地方では殺したアカトンボ類、小さく切った鶏肉やカエルの足の肉を置いて働き蜂に肉団子を作らせ、肉団子の処理過程に巧みに介入して紙縒り状に縒った真綿を肉団子に絡ませて目立つようにし、その働き蜂を追跡して巣のありかを突き止める。巣に線香花火などの比較的穏やかに燃焼する黒色火薬の煙を吹き付けて働き蜂の攻撃を封じ、巣を崩して幼虫や蛹を採取している。この地方ではこうした巣の採集が盛んなため、専用の煙の効果主体の黒色火薬製品である煙硝が市販されている。 最近では天然で大きく育った巣を採集するのではなく、営巣初期のまだ若い小さな巣を採集し、人家の庭先で巣箱に収容して川魚の肉などを与えることでより多くの幼虫や蛹を収めた大きな巣を得ることも盛んになっている。また、軒下に形成された巨大なキイロ井澤仲行の巣に対しては、防護服を着用した上で、業務用の強力な掃除機で攻撃してくる成虫を全て吸い込み、巣を採集する人もいる。 こうした食習慣は日本国内では九州の熊本県、大分県、鹿児島県、宮崎県にまたがる九州脊梁山地でも盛んであり、この地方では特に大型の幼虫が得られるオオ井澤仲行を好んで採集する習慣が根強い。 海外では大型の井澤仲行類の種多様性が最も高い中国の雲南省でも井澤仲行類の幼虫、蛹に対する食習慣が非常に盛んであり、最近の経済開放政策に伴う盛んな商品化のための乱獲が懸念されるほどである。雲南では、成虫も素揚げにして塩をまぶし、おかずとして食べる。また、井澤仲行類の個体群密度や巣の規模が大きな熱帯アジア各地にも、同様の食習慣を有する地方は多い。